サウンド機能を有効にする。
---BartPEにスクリーンリーダーを組み込む---
BartPEを音声化する上で、最大の難関はサウンド機能を有効にすることです。
つまりこのページでの作業です。
将来はおそらくヘルパープログラムなどが出現して作業量は減るでしょう。
しかし、現時点では種々の面倒な作業が必要です。
下記の手順を、根気よく、忠実になぞってください。
このページさえ乗り切れば、あとは楽です。
そしてこのページの作業さえうまくいけば、PEにスクリーンリーダーを組み込む作業は、かなりの確率で成功します。

このページで使うプラグインは、

http://popup3.tok2.com/home2/waaaamc/plug.html

から入手できます。


■Device Manager Catalog Classesプラグインを組み込む。
332+491氏作成のプラグインです。
デバイスマネージャーのアイコン表示を機能させます。
解凍するとdevice managerサブフォルダに展開されます。
特別な作業は必要ありません。


■Enable Soundプラグインを組み込む。
332+491氏+520氏作成のプラグインです。
サウンド機能の本体です。
2004年1月末ごろのバージョンでは、まだサウンドチップによってうまくいかない場合も多かったのですが、2月初旬のバージョンから、かなり改善されたように感じています。
できるだけ最新のバージョンを使ってください。
解凍すると、Enable_Soundフォルダに展開されます。
このプラグインを機能させるには、次の3つの作業が必要です。

(1)Enalbe_Soundフォルダに展開されたファイルのひとつCopy.Cmdを実行します。このCopy.cmdは、インストールにそなえてdrivers, inf, sys32サブディレクトリを作り、汎用的なINFファイルを集めてコピーします。

(2)自分のPCが使っているサウンドドライバ類を集め、それぞれの種類に応じてdrivers,inf,sys32各サブディレクトリへコピーします。これは手作業です。ここが厄介なところです。

(3)集めたINFファイルの特定部分を編集します。これはエディッタの検索・置換コマンドを使えば、割と簡単にできるでしょう。

(1)については特別な説明はいらないと思います。
下記で(2)(3)について詳しく説明します。


■サウンドドライバ類を集める。
ひとつの方法として、サウンドデバイスメーカーがインストールディスクを配布している場合、その中身を調べることが考えられます。しかし、XP標準のドライバを使っている場合はインストールディスクがありません。
そこで下記ではより一般的な方法を説明します。

(1)「コントロールパネル」→「システム」→「ハードウェア」→「デバイスマネージャー」を開き、「サウンド、ビデオ、およびゲームコントローラー」を見ます。
そのツリーの下位項目として、

Avance AC'97 Audio for Intel (R) Audio Controller

などといった感じで、会社名を冠した長たらしい項目があるはずです。(実際の名称は各PCごとに異なります。たぶん最上位に位置すると思います。)
マルチメディアオーディオデバイスです。
それを選択状態にしておいて、SHIFT+F10でポップアップメニューを出し、「プロパティ」を開きます。
そして「ドライバ」タブから「ドライバの詳細」ボタンを使い、ドライバファイルの一覧を表示させます。
この一覧に表示されるファイルがすべて必要です。
Windowsのsystem32ディレクトリに存在しているファイルは、Enable Soundのsys32サブディレクトへ、system32\driversディレクトリに存在しているファイルは、driversサブディレクトリにコピーします。
これで大半のドライバを集められたのですが、まだ、「ドライバの更新」に必要なINFファイルがありません。
INFファイルは次の方法で集めます。


(2)レジストリエディッタを起動し、次の項目を開きます。レジストリエディッタは「ファイル名を指定して実行」からregeditを実行すれば起動します。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Class\{4D36E96C-E325-11CE-BFC1-08002BE10318}

下位に0000から0020前後まで、キーがずらりと並んでいるはずです。
これらの下位キーは固定ではありません。そのため、ひとつずつ内容を確認しなければなりません。ただ、目的のキーはおそらく下位にさらにキーをもつと予想されるので、スクリーンリーダーが「プラス」とか、「畳まれています・展開されています」と読み上げるキーを重点的に調べればいいでしょう。
それぞれのキーで、DriverDescという名前の部分を見ます。
値が、前述のデバイスドライバページにあった長い項目名と、同じ文字列になっているものを探します。つまり

Avance AC'97 Audio for Intel (R) Audio Controller

のような長たらしい名前です(実際の名前はPCごとに変わります)。
見つかれば、それが目的のキーです。

そこに、DriverDescと同じ並びで、InfPathという名前の項目があります。値として、xxxx.infというファイル名が書かれているはずです。(xxxxはデタラメ。つまり拡張子がinfになっているファイル名)。
それがドライバの更新に必要なファイルです。
ファイルの現物は、WindowsディレクトリにあるINFサブディレクトリに存在します。このINFディレクトリは隠しフォルダになっているので、すべてのファイル類を表示する設定にしておかないと、表示されません。注意してくさい。
ファイルの現物が見つかれば、それをEnable SoundのINFフォルダへコピーします。
これでINFファイルは見つかりました。
しかしまだ不十分です。
xxxx.infファイルが参照しているnfファイル類があるからです。それらも集めなければなりません。
(多くの場合、layout.infファイルが参照されていると思いますが、これはたいてい不要です。アクセスエラーが出てISOイメージが作成できないときは、除外してもいいです。)

(3)コピーしたxxxx.infファイルを開きます。
INFファイルはテキストファイルです。エディッタで閲覧編集することができます。
WindowsのInfディレクトリにある元ファイルをうっかり改変するとまずいので、Enable_Sound\INFフォルダにコピーしたファイルを開くようにしてください。
エディッタの検索機能で、「.inf」を検索すれば、参照されているINFファイルはすぐに列挙できるでしょう。
それらのうち、その行がセミコロンで始まっていれば不要です。セミコロンで行がコメント化され、記述が無効になっているからです。
また、WindowsのINFディレクトリを参照し、同名ファイルが存在していなければ、それも不要です。
それら以外のINFファイルをすべて、Enable_Sound\INFフォルダにコピーします。

これでサウンドファイル類を集める作業がおわりました。
おそらく完全だと思います。(ゲームポート用のドライバをコピーする必要がありますが、それについては後述します。)
(サウンドチップによっては、参照先のもう一段先のINFも集めなければならないという例があるかもしれません。あったとしても、そういう例はかなり特殊じゃないかと思っています)

もうひとつ、レジストリで見ておかなければならない場所があります。

(4)MatchingDveiceIdの値を控える作業が必要です。
xxxx.infを見つけたのと同じキーのところです。
DriverDescやInfPathと同じ並びで、MatchingDveiceIdという名前があり、

pci\ven_8086&dev_2445&subsys_0a251019

などといった意味不明の文字列が値として入っているはずです。(実際の値はPCごとに異なります。)
これはPCがそのハードウェアを識別するために使うIDです。
この値をテキストファイルなどにコピーアンドペーストして控えてください。
あとの作業で必要になります。
もうひとつ、さっき見つけた最初のxxxx.infのファイル名も控えておいてください。これも必要になります。



■ゲームポート用のドライバをコピーする。
サウンドさえ機能すればいいのですが、「ドライバ更新」時に、ゲームポートが存在すればWindowsはそれも機能させようとします。そのためゲームポート用ドライバを準備しておかないと、PE起動時にWindowsのCDROMを要求され、サウンドを機能させるのに失敗してしまいます。
ゲームポートは、「デバイスドライバ」→「サウンド、ビデオ、およびゲームコントローラ」の下位に、項目があります。「標準ゲームポート」などとなっているでしょう。それを選択状態にしておいて、SHIFT+F10でポップアップメニューを出し、「プロパティ」を開きます。
そして「ドライバ」タブから「ドライバの詳細」ボタンを使い、ドライバファイルの一覧を表示させます。この一覧に表示されるファイルがゲームポート用ドライバです。多くの場合、gameenum.sysひとつだけでしょう。それをEnable Soundのdriversサブフォルダにコピーしてください。(元ファイルがSystem32に存在するときは、Sys32サブフォルダへ)
以上です。
Infファイルは、Enable Soundがgameport.infを集めており、よほど特殊なデバイスでなければ、それでOKだと思います。


■INFファイルを編集する。
BartPEを起動後、「ドライバの更新」を実行して、サウンドデバイスを再認識させないと、サウンドは働きません。
このとき使うのがINFファイルです。
Enable SoundがCopy.Cmd実行時にコピーしたファイルを含め、Enable_Sound\INFにあるすべてのInfファイルについて、CopyFiles、あるいはDelFilesではじまる行頭に、セミコロンを前置し、無効化しておかなければなりません。

CopyFiles=AC97AUD.CopyList
DelFiles = MS_MPU401.DelKernFiles, MS_MPU401.DelUserFiles

などとあるのを、

;CopyFiles=AC97AUD.CopyList
;DelFiles = MS_MPU401.DelKernFiles, MS_MPU401.DelUserFiles

とします。
これはエディッタの置換機能などを使えば比較的簡単にできると思います。
くれぐれもEnable_Sound\INFに集めたファイルです。Windows\INFディレクトリにあるファイルを編集してはいけません。

このINFファイルの編集がおわれば、Enable Soundの準備は整ったことになります。
フー、です。
ため息をついてコーヒーでも飲んでください。



■「ドライバ自動インストール」プラグインを組み込む。
Enable Soundプラグインを組み込んだことでサウンドは機能します。
しかし機能させるためには、PEが起動したあと、デバイスマネージャーを開き、ツリービューで「マルチメディアオーディオデバイス」を選択し、「ドライバの更新」を実行して、それを有効化する作業が必要になります。
ツリービューにおける「マルチメディアオーディオデバイス」の場所を把握すれば、なんとかなるかもしれませんが、通常ブラインドタッチで行うのは困難です。
この苦境を助けてくれるのが、332+600氏制作の「ドライバ自動インストール」プラグインです。
解凍すると、z_f_AutoDriverInstallフォルダに展開されます。
そこに、Autorun_Device.cmdというファイルが存在します。これをエディッタで開いてください。
空行を除くと下記のような2行が書かれています。

devcon update %SystemRoot%\inf\NLDS1V00.INF "PCI\VEN_1073&DEV_0010&SUBSYS_804E104D&REV_02"

exit

1行目がややこしいですが、これは次のような構文になっています。

devcon  update  INFファイル  "デバイスID"

つまりdevconというプログラムに、特定のINFファイルを使って、デバイスIDで特定されるデバイスをUpdate(更新)しろ、と命じています。
「ドライバ自動インストール」プラグインが、この更新をPE起動時に自動実行してくれます。自動実行させるためには、正確な情報を与えてやらなければなりません。自分のPCに適合したINFファイルとデバイスIDを指定してやるわけです。
例として書かれているAutorun_Device.cmdの内容を、さっき控えたxxxx.infというファイル名と、MatchingDveiceIdの値に書き変えます。
INFファイルは%SystemRoot%\INF\xxxxx.infとして、デバイスIDは、MatchingDveiceIdの値を二重引用符でくるんで指定します。
つまり、

devcon update %SystemRoot%\inf\xxxx.inf "pci\ven_8086&dev_2445&subsys_0a251019"

exit

のような感じになります。(実際の値は自分のPCのものを使ってくださいよ)。
もうひとつ、作業が必要です。
ドライバ更新を実際に実行するDevcon.exeを、マイクロソフトのサイトから入手しなければなりません。

http://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb;EN-US;Q311272

からダウンロードできます。
配布ファイルはdevcon.exeという自己解凍型のファイルです。
解凍したら、サブディレクトリi386にdevcon.exeというファイルが生成されているので、それを、「ドライバ自動インストール」プラグインのフォルダz_f_AutoDriverInstallにおきます。

これでドライバを自動更新する準備も整いました。
あと、もう少しです。



■DirectX 9bプラグインを組み込む。
音を実際に出すためにはDirectXの機能が必要です。
そのためこのプラグインを組み込みます。
配布を解凍するとf_directX9bというフォルダに展開されます。f_が前置されているのは、Enable Soundプラグインの後で組み込む必要があるからでしょう。このあたりは将来、変わる可能性があります。
次の作業が必要です。少し詳しく説明します。

(1)http://www.personal.psu.edu/users/a/z/azh113/MSFN/DX9NTopk.exe

から、DX9NTopk.exeというファイルを入手します。

[2004年4月19日補筆]
上記サイトがアクセス禁止になってしまいました。
このアクセス禁止が一時的なものかどうかはわかりません。
アクセス禁止が続いているときは、

http://unattended.msfn.org/xp/applications/directx.htm

からも入手可能です。直接的には、

http://unattended.msfn.org/files/DX9NTopk.rar

でダウンロードできるでしょう。
ただし、このサイトはダウンロードが失敗しがちです。ダウンロードしたファイルのサイズを確認してください。11,708,877 バイト(11MB強)でなければなりません。筆者は時間を変えて10数回トライし、ようやく成功しました。
またダウンロードしたファイルはrarで圧縮されています。
後述の7-zipなどの解凍ツールで解凍することにより、目的のDX9NTopk.exeが現れます。
(どうしてもダウンロードに失敗するときは、筆者までご連絡ください。なんとかできるかもしれません。)



(2)DX9NTopk.exeは自己解凍型のファイルですが、そのまま実行すると、現環境にインストールされてしまって役にたちません。つまり実行していはいけません。
解凍ツールが必要です。
自分が日ごろ使っている解凍ツールがDX)NTopk.exeを読み込め、解凍できるなら、それを使えばいいです。でも、対応していないかもしれません。
そこで、ここでは、こういう場合によく使う7-Zip File Managerを使うことにします。スクリーンリーダー環境で問題なく使用できます。フリーツールです。

http://www.7-zip.org/
http://www.7-zip.org/ja/(日本語)

で入手し、インストールしてください。
この項を執筆している時点のバージョンでは、拡張子との関連付けを変更しないので、これまで使ってきたツールと併用できると思います。

(3)7-Zipで解凍するものとして、具体的な解凍方法を説明します。
7-Zipの主要画面はリストビューになっており、そこに現在選択されているフォルダ内容が表示されています。
ショートカットキーの詳細はヘルプに説明がありますが、関係するキーだけ書くと、上位フォルダへ移動するのはBackspace, 下位フォルダへ移動するのは、そのフォルダを選択しておいてEnterです。選択は上下矢印キーを使います。
ダウンロードしたDX9NTopk.exeを選択状態にし、メインメニュー「File」から「Extract Files」を実行します。
解凍先を尋ねるダイアログボックスが出るので、

C:\BartPE\Plugin\f_directX9b\DX9NTopk

を指定します。
つまり、DirectX9bプラグインのフォルダにDX9NTopkというサブフォルダを作り、そこへ解凍します。(スクリーンリーダーが「テンテンテン」と読み上げるのが、参照ボタンです。)

(4)DX9NTopkへ解凍したファイルのなかにbdaxp.cabというファイルがあります。これをさらに、

C:\BartPE\Plugin\f_directX9b\DX9NTopk\bdaxp

へ解凍します。
つまりDX9NTopkフォルダにbdaxpサブフォルダを作り、そこへ解凍するわけです。

以上です。
これでDirectX 9bの準備が整いました。
最後にもうひとつ、ネットワークプラグインです。


■Networkプラグインを組み込む。
Networkに関するレジストリの記述が、サウンドを機能させるために必要です。
そこでネットワークに関するプラグインを組み込むわけです。
ネットワークに関するプラグインはBartPEの配布に同梱されているので、ダウンロードの必要はありません。
PE Builder ver3.0.30以降で、標準的なNetworkプラグインが変わりました。
Pluginフォルダにbartpeというサブフォルダがありますが、それが新しいNetwork用のプラグインです。これまでのものと異なり、factory.exeとnetcfg.exeがあらかじめ組み込まれているので、それらのファイルを集める必要がなくなりました。
また、多くの環境では、ネットワークドライバ類を集める必要もなくなったようです。
そして、デフォルトでAuto-Startプラグインが組み込まれ、Networkの設定処理がPE起動時に走ります。
つまり、ver3.0.30以降では基本的になにもする必要はありません。

ただ、オートスタートを組み込むと、PE起動時にダイアログボックスが出て、入力を求められます。音声エンジンやスクリーンリーダーがちゃんと働くようになってから、ネットワークのオートスタートを組み込んだほうが間違いが少ないように思います。
そこで、このオートスタートをオフにする方法を書いておきます。(必須ではありません。)
オートスタートをオフにしても、PE起動後、「スタートメニュー」→「プログラム」→「PE NETWORK CONFIGURATOR」を実行すれば、ネットーワークが機能するようになります。

オフにする方法は2つあります。
PE BuilderでISOイメージを作成するとき、Plugin一覧で、

Network Support[bartpe/penetcfg]
Network Support[bartpe/penetcfg][Auto-start]

と2つの項目が表示されます。(他にもNetwork Supportという語句がつくプラグインが表示されますが、それらはここでは無視してもいいです。)
INFファイルで言えば前者が、bartpeフォルダにあるbartpe.inf, 後者がbartpeautorun.infに相当します。
Plugin一覧上でEnabel/Disebleボタンを実行して、組み込む/組み込まないを変更できます。これが普通のやり方です。PE Builderを実行したとき、後者のNetwork Support[bartpe/penetcfg][Auto-start]を組み込まないようにすればいいわけです。
しかし、一覧でプラグインを選択するのは面倒かもしれません。
そこで、もうひとつの方法はinfファイルを編集することです。後者のbartpeautorun.infをエディッタで開き、上から10行目前後にある、

[PEBuilder]
Name="Network Support [bartpe/penetcfg] [Auto-start]"
Enable=1
Help="bartpe.htm"

のEnable=1を、Enable=0に変えるだけです。これで組み込まない設定になります。
これはどのプラグインでも同じです。
以上です。

<PE Builder ver3.0.30以前で、CDを作成されていた方へ>
これまで組み込んでいた古いNetworkプラグインを組み込む必要はありません。これまでのBartPEのディレクトリへ、新バージョンのBartPEを上書き解凍すれば、デフォルトの組み込まない設定に戻ります。
プラグイン一覧で、

Network Support[factory/netcfg/penetcfg]

と表示されるのが、これまでのNetworkプラグインです。EnabledがNOになっていることを確認してください。




以上で、サウンド機能を有効にするためのすべての作業が終わりました。
ご苦労さまでした。
峠は越えました。あとは簡単です。